WSL (Windows Subsystem for Linux) の基本的な導入手順について書きます。
ここで最低限必要な使い方を理解した上で、サードパーティ製のターミナルエミュレータ(Cmder や wsl-terminal など)を使うと問題が起きても対処できるようになります。
※「Linuxディストリビューション」と書くと長いので、本ページでは以後「Linuxディストロ」と書きます(見出し以外)。
目次
1. WSL を導入する
PowerShell を管理者権限で起動します。
以下のコマンドを実行します。
PS> Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Windows-Subsystem-Linux
Windows を再起動します。
2. Linuxディストリビューションを導入する
Windows Store で、WSL 用の Linuxディストロが提供されていますので、そちらからお好みのものを導入します。
複数の Linuxディストロを導入することも可能です。
(ストア内で”WSL”で検索すると出てきます)
例として Ubuntu 18.04 をインストールする場合の手順を説明します。
(1) Windows Store 内でお好みの Linux ディストリビューションを表示し、[入手]ボタンを押します。
(2) 「複数のデバイスで使用する」というポップアップが表示されたら、[必要ありません] を選択します。
もちろん、複数のデバイスで使用したい場合は [サインイン] を選択してください。
(3) [インストール]をクリックします。
プログラムのダウンロードとインストールが始まります。
(4) [起動]をクリックします。
(5) ユーザー名とパスワードを入力します。
Ubuntu の場合、ユーザー名に大文字が使えませんが、他のディストリビューションでも同じような制限があるかもしれません。
(参照: Ubuntu ではユーザー名に大文字が使えません(デフォルトでは))
これで、Ubuntu 18.04 を使い始めることができます。
(このターミナルエミュレータを閉じる場合は、exit
コマンド入力して下さい。)
また始める時は、スタートメニューを開き “Ubuntu 18.04” といったようにディストリビューションの名前を入力すると該当するアプリケーションが表示され、そこから起動することができます。
3. 導入した Linuxディストリビューションを確認する
WSL用にインストールした Linuxディストロを確認しておきましょう。
コマンドプロンプトか PowerShell で以下のコマンドを実行します。
PS> wslconfig.exe /list
実際に実行するとこんな結果が出力されます。
PS> wslconfig.exe /list
Windows Subsystem for Linux ディストリビューション:
Legacy(既定)
kali-rolling
Ubuntu
この場合は、「Legacy」「kali-rolling」「Ubuntu」の3つのLinuxディストロが導入済みであることが分かります。
「(既定)」がついている「Legacy」がデフォルトになっています。
ちなみに「Legacy」というのは、Windows 10 に WSL が導入された当初「Bash on Ubuntu on Windows」という名前でインストールされた Ubuntu です。それ以外で表示されているのは、Windows Store からインストールされているはずです。
4. デフォルトで使用する Linuxディストリビューションを設定する
デフォルト(既定)の Linuxディストロを変更する場合は、以下のコマンドを実行します。
wslconfig.exe /setdefault <DistributionName>
<DistributionName>
の部分は、先ほど wslconfig.exe /list
コマンドによって表示された名前を指定します。
例えば、Windows Store から導入した Ubuntu であれば、以下のようにコマンドを実行します。
PS> wslconfig.exe /setdefault Ubuntu
5. Linuxディストリビューションを実行する
やり方はいくつかあります。
方法その1:スタートメニューから起動する
スタートメニューをクリックして、Linuxディストロの名前を入力すると該当する項目が表示されますので、そこをクリックして起動する方法です。
※ 「Bash on Ubuntu on Windows」による Ubuntu と、Windows Store から導入した Ubuntu の両方が表示されています。
方法その2:wsl.exe
コマンドで起動する
wsl.exe
を実行する方法です。既定のLinuxディストロが起動します。
wsl.exe
おまけ:Linuxのコマンドを1つ実行するだけの実行方法
wsl.exe
の引数に Linuxコマンドを指定すると、Linuxディストロ側ですぐにそのコマンドが実行されます。Linuxディストロのシェルには入りません(ssh
コマンドに似ています)。
6. パッケージソフトウェアを更新する
Ubuntu / Debian / Kali Linux といった Linuxディストロは、apt
というコマンドでいろいろなソフトウェアをインストールすることができます。1つ1つのソフトウェアをパッケージとして管理するので、apt
はパッケージ管理ツールとも呼ばれます。
最初からインストール済みのパッケージのバージョンが既に古くなっていることがありますので更新します。
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
ついでに日本語翻訳データをインストールしておきましょう。
$ sudo apt install language-pack-ja
$ sudo apt install manpages-ja
7. おわりに
WSL (Windows Subsystem for Linux) の基本的な導入手順について書きました。
これを理解した上で、サードパーティのターミナルエミュレータを使えば、より便利に WSL を使うことができます。その場合の設定方法は以下のページに書いてありますので、こちらも参考にしてください。